第14回無料セミナーを開催しました!

第14回セミナー「“何を実現したいのか”の見つけ方」は、現地、及びオンラインで大勢の方にご参加いただき、盛況のうちに終了しました!

今回のセミナーでは、実際にあった二つの事例をもとにケーススタディを行い、“何を実現したいのか”を見つけるにあたって起きやすい事象や、陥りやすい点、また考えを整理していくにあたってのポイント等をご紹介いたしました。

その後、各社に実現したいことを語っていただくグループワークを行いました。

こちらでは、第14回セミナーの内容の一部をご紹介します。

【ケーススタディ】“何を実現したいのか”の見つけ方

“何を実現したいのか”と問われたとき、答えとして多く出てきたのは以下の2つのパターンでした。

 -目の前の問題や、日々に追われて考える余裕がない

 -こんなことしたい、こんなことを改善したい、と思っているけど何から手を付けてよいかわからない

この二つのパターンからどのように実現したいことを見つけていくのか、実際の事例をもとにご紹介していきます。

※事例内容はわかりやすくするために脚色を加えており、一部フィクションになっています

A社のケース

A社は物流の会社で、最近社内にDX担当部署が設立されました。指名された担当者が計画については一任されています。彼らには「ドライバーの労働環境を改善したい」という思いがありました。ですが、何から手を付けてよいか、DXの専門家ではないチームメンバーは悩んでいました。二つ目のパターンの「こんなことを改善したい、と思っているけど何から手を付けてよいかわからない」の状態ですね。

そこで最初に「労働環境を改善したい」について、整理しました。

まず気づいたのが「労働環境を改善したい」は課題であり、「労働環境を改善する」ことで実現したいことは何なのか、という点です。チームとして出した答えは「ドライバーを幸せにしたい」でした。

次に、課題である「労働環境」を分析・分解しました。「労働環境」とざっくり言うのではなく、どういう部分が課題なのか、何を改善したいのかを具体化していきました。コミュニケーションについて、労働時間について、意識について、賃金について、事故多発について、健康について、などなど色々な課題が出てきました。

このように多くの課題が出てきたときに、どれが本質的な課題かを見つけるのが大事です。

そこでポイントとなるのは関連性です。本質的な課題というのは他の多くの課題に関連しており、それが解決すると関連している別の課題が一緒に解決するようなものを指します。

A社のケースで言うと「お金」でした。ドライバーは賃金を上げるために残業をする傾向があり、その結果労働時間が長くなり、疲労がたまり、事故も起こりやすくなる、という負のループが生まれていました。

一番本質的な課題は「お金(賃金)」ということがわかったので、チームメンバーは経営層にドライバーの賃金引き上げの交渉をします。ですが、何百人もいるドライバーの賃金(時給)を100円上げるだけでも相当なコストになります。結果、経営層から賃金アップについてはNGが出てしまいました。

ここでのポイントは、解決したい課題が、

 -乗り越えるべき課題

 -避けるべき課題

のどちらなのかを整理することです。乗り越えるべき課題は、自分たちのやり方やアイデア次第でどうにかなるもの。避けるべき課題は、例えば人口問題のように今すぐ自分たちが変わるだけではどうにもならない課題を指します。

今回の「賃金」という課題は自分たちでどうにかできる範囲を超えていたので、2番目の「避けるべき課題」となりました。

出てきた課題が避けるべきだと判断したチームはもう一度、会社全体の課題を見直しました。すると経営層が経営方針として掲げていた「事故防止」という課題が目に留まりました。A社にとって「事故防止」は長年にわたる経営課題で、事故に関連する経費も毎年かなりの額になっていました。その経費も「お金」です。このことに気づいたチームは「事故防止」が実現できれば、その経費をドライバーのために使えるかもしれない、と考えました。

そこでチームメンバーは「ドライバーを幸せにする」ということを実現するために、「事故ゼロ」に取り組む、という結論を出したのです。

B社のケース

B社はきなこを使ったお菓子の製造販売をしている家族経営の会社です。お土産としての需要が主だったため、コロナ禍によって売り上げが激減してしまい、加えて原材料の高騰や、生産量の低下などにも悩まされていました。まさに冒頭に述べた「目の前の問題や、日々に追われて考える余裕がない」という状態でした。

また、それらについての解決案を考えるにあたっても、様々な要素に悩まされて、どう決めていったらよいか不安に囚われていました。例えば「単価を上げたい」と思っても

 -いくらにすべきか

 -新規顧客を開拓するのだから利益を確保できる価格に設定したい

 -でも上げすぎたら既存のお客さんから文句がでるかも

など、いくつもの要素があり、あちらを取るとこちらが解決できず、など整合性が取れずに悩んでいました。

こういう時は「変数」と「固定値」を見つけることが重要です。何が「固定値=譲れないポイント」で、何が「変数=妥協できるポイント」か。A社は「固定値=譲れないポイント」を見つけるために、自社の商品を誰にどのように届けたいのか、について改めて向き合いました。その結果、このお菓子の成り立ちや、きなこが原材料であること、小麦・卵・乳製品不使用で、保存料・着色料も使っていないことなどから、「安心・安全なお菓子として、きなこ好きや健康意識の高い人、そして子どもたちに日常のお菓子として食べてもらいたい」という思いにたどり着きました。

ですので、値上げをしたことで、添加物があっても安価を重要視する人が離れていってもそれは受け入れる、という判断ができるようになりました。

DXはツールなので、何を実現したいか、ありたい姿が大切です。それを一から考えようとすると悩む方もいらっしゃるかもしれません。ただ、みなさんはこれまで数十年、数年営まれている会社をお持ちで、これまでの大切な歴史があります。会社の価値や歴史を振り返る中で、必ずヒントがあるはずです。その中でどこを残していくのか、どこを今の時代の流れに合わせてアップデートさせていくべきなのか一緒に考えていきませんか?

「湧く沸くDXおおいた」では、DXの事例を学びながら、自社のビジョンについて考えてみる、その想いを言葉にすることで自社の本当の価値は何なのかを探っていく、そんなセミナーを今後も展開していきます。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。

【申込はこちらから】 https://wakuwaku-dx-oita.com/seminar/