第11回無料セミナーを開催しました!

第11回セミナー「身近な産業とテクノロジー」は、オンラインで大勢の方にご参加いただき、盛況のうちに終了しました!

今回のセミナーでは、水産養殖者向けの自動給餌機や海洋データサービスを提供し、水産養殖×テクノロジーの第一人者として常に新しい挑戦を続けているウミトロン株式会社から、シーフードの販売事業を担当する村上千賀子氏をゲストにお招きしてお話し頂きました。

こちらでは、第11回セミナーの内容の一部をご紹介します。

【講演】「身近な産業とテクノロジー」

ウミトロン株式会社 マーケットサクセス 村上 千賀子 氏

兵庫県出身、自然や農業に興味を持ち、大学では理学部生物科で植物分子遺伝学を学んだという村上氏は、これまで工場野菜メーカーで営業・販促を経験したり、産直野菜販売のプラットフォームの運営、レシピ動画メディアサービスの立ち上げなど広く担当した後、2020年にウミトロンに入社し、シーフードブランドの立ち上げからシーフードの営業・販売促進を担当しています。

ウミトロンについて

ウミトロンには30名ほどのさまざまなバックグラウンドをもったメンバーが所属しています。

ウミトロンのサービスのひとつにAI搭載のスマート給餌機「UMITRON CELL」があります。

スマートフォンなどの端末から、生け簀で泳ぐ魚のリアルタイム動画を見て遠隔で餌やりをすることが可能です。また、搭載のAIが魚の食欲を判定し、餌量やスピードを最適化、制御することができるため、労働負荷の削減だけでなく、過剰な餌が海へ流出することも防ぎます。労働者だけでなく、環境にも配慮した、持続可能な養殖業の実現を目指しています。

UMITRON PULSEは、衛星リモートセンシング 技術を活用し、世界中の様々なエリアの高解像度の海洋データを日次で確認できるサービスです。

養殖生簀周辺の情報だけでなく、取得が困難だった広域の海洋環境データを効率よく取得し、組み合わせることで、生産者のより効率的な生育やリスク管理に貢献します。

生産現場だけでなく、養殖事業者が安定的に収益を得るのが難しいという課題に対し、販売支援のサービスも提供しています。海を愛する、AIシーフード「うみとろん」というブランドを立ち上げ、ウミトロンの提供する技術を活用し育てた魚の販売を開始しました。

鮮魚店の店頭において、タブレット端末を用いてスマート給餌機「UMITRON CELL」を遠隔操作できる「リモート餌やり体験」を提供し、消費者にテクノロジーの面白さを伝える施策を行いました。

生産現場にはテクノロジーを提供し生産性の向上や無駄を削減、労働負荷の低減を行うと共に、養殖事業者の更なる技術投資を可能にする収益化のサポートも行っています。

生産から販売まで一気通貫した支援がウミトロンの強みです。

地方の産業の一番の課題は人手不足だと感じています。

若手人材が集まりづらく働き手が高齢化する問題に加え、水産養殖業では海上の危険な作業が多く、自然を相手にする業務は単純化しづらいので、特定の人に負荷が集中してしまいます。

テクノロジーで解決できそうなところは積極的に自動化し、労働負荷を下げてあげることで、従事する人が十分な休みが取れたり、よりクリエイティブなことに挑戦する余裕ができたりすると良いと思います。

テクノロジーを提供するにあたり、現場でどんなことが課題となっているのかを理解するため、ウミトロンのメンバーは生簀に足を運んでいます。

【パネルディスカッション】

一次産業に興味があったと語る村上氏、工場野菜などテクノロジーの活用が進んでいる農業分野と比べ、水産養殖分野にはまだ機械化・効率化できる可能性があると感じていたといいます。また、魚食文化にも魅力を感じており、多くの人を惹きつけるシーフードブランドを作ってみたいという思いが、ウミトロンに参加する意欲になったそうです。

パネルディスカッションでは、湧く沸くDXおおいたのテーマでもあるDX推進について対談しました。

DX推進のヒントは現場にある

テクノロジーは利用者が使い続けてくれてこそ有効な手段と言えます。

例えば、水産の現場では連絡手段は長らく電話とFAXでした。最近はLINEで連絡をとっています。オフィスで働く会社員として私もよく使っていた、PCメールでのコミュニケーションは、この業界では一般的ではないようです。実際に現場を見てみるとその理由が分かります。通信環境が整っていない浜や船の上で濡れた手でPCを操作することはできません。課題を解決する効果だけでなく、利用者が使い続けられる方法を提案する必要があります。

ウミトロンとしてのミッションを忘れない

ウミトロンのミッションは「持続可能な水産養殖を地球に実装する」ということです。スマート給餌機「UMITRON CELL」もそのミッション実現のための1つの解決策です。環境の変化に合わせより良いものを提供していきます。新しい課題を発見したら取り組み、常に新しいことに挑戦していきたいです。

シーフードの販売事業への挑戦は会社を変革する機会にもなりました。シーフードの販売事業のチームは新型コロナウイルス感染症拡大の最中である2020年6月に結成されました。同年の生活様式の変化や政策による外食需要の落ち込みは、養殖魚の出荷にも影響を与えました。それが事業立ち上げのきっかけになっています。チーム結成のため、水産流通や食品業界出身である新メンバーの参加があり、技術者が多かった会社の雰囲気も変化したと思います。変化を受け入れながらも当初のミッションを追い続けています。

取り組みを継続するために

新しいことに取り組むときには、失敗するのが当たり前だと考えています。最初に思い描いたことが、途中で変化し、最後には全然違うものになったということも経験しました。生産者やその他のパートナーとなる企業が柔軟に受け入れ対応してくれたおかげでその都度、方向転換することができました。予想がハズレ、挫折を味わいながらも、早い段階でオープンに相談して次の策を考える、切り替え上手になることが継続に必要なことだと感じます。

DX宣言事業者に知っていて欲しいこと

お互いに学んでいくという意識を持って取り組んでくれると嬉しいです。課題感や強い目的意識を持っているDX宣言事業者であるほど、一緒に取り組むソリューションパートナーは提供できることが明確になると思います。まずサービスを試してもらって、サービスのダメなところや何を感じたかなど、ネガティブなことほど伝えてもらえることがありがたいです。より良くしていこう、と前向きな気持ちを共有して進化していけたらと思います。

そう語って村上氏はセッションを締めくくりました。

村上氏の示唆に富んだポジティブなメッセージは、多くの方のDXへの第一歩を後押しされました。

さて、DXの事例を学びながら、自社のビジョンについて考えてみる、その想いを言葉にしてみる。そんなセミナーを今後も展開していきます。

ありたい姿を実現するためにDXを取り入れる、まずはその想いを言葉にしてみませんか? 皆様のご参加を心よりお待ちしております。

【申込はこちらから】 https://wakuwaku-dx-oita.com/seminar/