第13回無料セミナーを開催しました!
第13回セミナー「“湧く沸くDXおおいた”今までとこれから」は、現地、及びオンラインで大勢の方にご参加いただき、盛況のうちに終了しました!
今回のセミナーでは、伴走型モデル創出プロジェクトにコンサルティングパートナーとして参加している株式会社オーイーシーDX推進部の坂本将幸氏と、株式会社SFPコンサルティングの園田経人社長にご登壇いただきました。
こちらでは、第13回セミナーの内容の一部をご紹介します。
【パネルディスカッション】「“湧く沸くDXおおいた”今までとこれから」
株式会社オーイーシー DXプロデュース事業部DX推進部 坂本 将幸 氏
株式会社SFPコンサルティング 代表取締役 園田 経人 氏
コンサルティングパートナーとして事業者を支え、変革を促す立場としてこの事業に取り組んでいる両氏。
坂本氏は、大分県大分市出身。東京でシステムエンジニアとしてキャリアをスタートし、Uターンにて株式会社オーイーシーに入社。医療・ヘルスケア系のシステム開発・提案を経て、AIやデザイン思考を学び、アイデアソン・ハッカソンの企画運営を行いながら県内外の様々な企業様と共創によるDXを推進している。
園田氏は、大分県宇佐市出身。福岡の学習塾チェーンに入社し、九州各県で研修や巡回指導にあたり、2014年に独立起業。節税や資金繰りなどの相談サービスを実施。現在は地域事業者の営業代行、経営指導、補助金などの申請支援などを中心に、各種実務サポートサービスを行っている。
本事業におけるコンサルティングパートナーの役割
この事業では「ビジョン=ありたい姿」を描くことを重視している。コンサルティングパートナーの役割は、DXの取り組みの第一歩として、まず事業者とビジョンを策定すること。そして、そのビジョンを実現するためのソリューションを提案し、更に実行・実現するまでを伴走支援の範囲としている。
両氏がこの事業に参加したきっかけ
坂本氏:もともと、社内でもDX推進部が立ち上がり活動していた。そんな中、大分県もDXを推進していることを知り、そこにあった「伴走者」という言葉に着目して、自分の中にある“口を出すだけのコンサルティングでは意味がない。一緒に汗をかくことが大切。”という考えと共感できたので応募した。
園田氏:DXというよりは、自分がしているコンサルティングのやり方に近いと共感して応募した。まずビジョンがあって、じゃあ今どうするか?というやり方をしている。学習塾で進路指導にあたっていた時から、やりたいことから逆算して、今何をするべきか?というアプローチを行ってきた。そのやり方に非常に近いというところから興味を持った。
支援にあたって大事にしていること
坂本氏:「一緒に汗をかく」ということは、「一緒の目線になって課題感を捉えられるようにコミュニケーションをとって、何に困っているのかを探る作業」をすることだと考えている。そして、最終的な判断を下す時には、目線を第三者に戻して、どちらの方向に進むのが利益になるのかをアドバイスさせてもらっている。
園田氏:三位一体、というかそれぞれが良いところを生かす、チームで戦うのが基本だと思っている。宣言事業者がどうなりたいか、を軸にしつつも、どうしても自分の業界のことを知りすぎてプロになっているところを、外からの目線でコンサルティングして、見える化したり課題を深掘りしている。それをソリューションパートナーという技術のプロに、具体的にどう解決するか落とし込んでもらうという、それぞれのいいところを引き出して、チームで戦っていけるようにするのが自分の役割だと考えている。
具体的な支援のポイント
坂本氏:現在、中津市にある「株式会社中津急行」という物流の会社を支援している。物流業界の難しさ、ドライバーの確保、物流量の増加という問題がある中で、どこを目指したら良いのかを何度もディスカッションして探ることで、ドライバーの労働環境改善の観点から、「事故ゼロの実現」を目指すという方向性にたどり着いた。デジタル要素よりも、どうすれば人の意識を変えて、ゼロを目指せるかに焦点を当てている。
園田氏:大分市内の「株式会社ありたや」という住宅商品を扱う会社の支援をしている。老舗企業であり、人口減などの社会問題とともに会社が衰退していく前に手を打ちたい、という経営者の熱い想いに共感し、伴走支援に取り組んでいる。現在の会社の財産は‘人’であり、他社にはない知識もスキルもある人材がいる一方で、それらを活かす上で阻害要因となっている、「属人的な業務が、事業規模を拡大する際に弊害になるのではないか?」という観点で課題の整理を行った。
デジタルではできないこと
坂本氏:‘人の想い’が重要。「どうなりたいか」「あの人はどんな考えを持っているのか」「何をしたら喜んでもらえるか」を考えるのは、まだまだ人にしかできないことだと思う。それこそが自分たちの価値だと思うので、大事にしていきたい。
園田氏:人と人が関係するところ、意志が絡むところは人にしかできない。計算上はこちらの方が効率的だというところでも、逆の選択の方がうまくいくことはよくある。そこを最大限に活かすためにデジタルを活用していくことが大切。
坂本氏:中津急行さんはドライバーを大切に考えている。業務効率やコストを考えると、例えば事故を無くすためにロボットを導入するという考え方もあると思うが、そうではなく、働いているドライバーがどうやりがいを持てるか?という考えを持っているからこそ、なおさら一緒に取り組みたいと強く感じた。
園田氏:ありたやさんには、長年の経験と知識とスキルという素晴らしい財産がある一方で、属人的な作業が多いために業務量が増え、マンパワーを活かしきれていないという課題がある。そんな中、デジタルでできる部分はデジタルに置き換えて、人にしかできない部分に注力していこうという考え方に共感した。今回の事業だけにとらわれず、3~5年ほどの期間を見据え、その第一歩として取り組んでいる。
両社の事例をみても、「自社の代えられない価値とはなにか」について、事業者とパートナーがチームとなり、同じゴールへ向かっていることが共通している。
DXを考えるうえでのポイントは、まず「ありたい姿」を考えることなのだと伝わってくる内容だ。
ビジョンからソリューションへの落とし込み
ビジョンを策定した後、ソリューション選定にいこうとしたけれど、またビジョンに立ち返って考えるようなことは何度もあったという。ビジョンがいかに素晴らしくても、遂行する現場の社員にきちんと伝わらないと意味がない。ビジョンが一人歩きしないよう、伝わる形で落とし込む必要がある。議論を重ねるチームの中でも認識の違いやブレが生じてくるため、言葉を定義し直したり、現場の声を聞いたり、議論を振り返ることで、チームの意識が統一されるのである。
坂本氏:中津急行では、「どうしたら事故ゼロを目指せるのか?」について何度も議論を重ね、現在はドライバーの意識を変えることに着目し、ドライバーが楽しみながら安全運転の意識を持てる「安全ポイント制度」を導入しようとしている。ポイントを管理するアプリを開発し、事故ゼロにつながるような取り組みを実施するとポイントが貯まり、ステージが上がっていく仕組みだ。
この仕組みにした理由は、ドライバーに「どうしたらハッピーに安全行動ができるか」をヒアリングし、「あれもこれもしなさい。という内容だと負担になる。」という声を受けたからだ。プラスのことをした時に褒められる仕組みの方が、よりハッピーに事故ゼロを実現できると考えた。
園田氏:ドライバーへの周知方法も、管理する側から「これをしないとダメです」という言い方ではなく、「事故がゼロになれば、事故が起きた時用にプールしているお金をみなさんに還元できる。あるいはそのお金で人を雇用すればシフトも組みやすくなって、休みも増える、家族の時間も増える。」というようなプラスの言い方にすれば、従業員も自分ごととしてプラスに捉えることができ、会社全体で取り組める活動になると考えている。
園田氏:ありたやの場合は、社員の知識やノウハウをもとにお客様に高いレベルの提案ができるよう、属人化している情報を一元化したいけれど、煩雑な業務に時間が取られ着手できないという状況。そのため、まずはその時間の削減を目標とした。今の業務フローを整理し、事務作業など人の力がなくてもできる部分をデジタル化することで、効率化を図ろうとしている。
社風や文化はどの会社にもある。長い年月をかけて培っているものであればあるほど、会社の武器になっていることも多い。しかし、その手法にこだわってしまうと、時代の変化と合わない側面も出てくるので、一度切り離して考えてみるのがよいかもしれない。創意工夫を忘れずにさらなる可能性を探りにいきたい。
難しさを感じる点
両氏ともに、「答えのないことに取り組むので、ある程度のところで切り上げて始めていかないといつまで経っても計画段階、ということになりかねない。気持ちを込めて一度決めたビジョンでも、途中で変わったり、軌道修正することを恐れず、ゴールから逆算して走っていくことも重要だ。」と述べた。
特に、今回の事業は伴走期間が決められているため、期間内で走りきるという点は共通して難しさを感じられていた。決められた期間の中でゴールを策定し、そのためにできることを逆算的に考え実施していくことが、新しい事業を生み出していくうえでのポイントだ。
今後の展望
坂本氏:社会的背景もあり、DXなどを用いてこれまでのやり方を変える必要が出てくることは多いと考えている。この機会を生かして、最初の一歩を踏み出すことが大事だと思う。大分が楽しい県になっていってほしいし、そんな取り組みに自分も参加したい。
園田氏:「豊(とよ)の国と言われる豊かな大分県、そんな大分県だからこそ危機感を感じにくい側面もある。人口の減少はどうすることもできないとしても、その中でどう進化していくか。新しく変わることで、自分達がもっとワクワクする組織になっていけるという視点で行動することが大事だと考えている。
坂本氏・園田氏の示唆に富んだポジティブなメッセージは、多くの方のDXへの第一歩を後押ししました。
さて、「湧く沸くDXおおいた」では、DXの事例を学びながら、自社のビジョンについて考えてみる、その想いを言葉にすることで自社の本当の価値は何なのかを探っていく、そんなセミナーを今後も展開していきます。
ありたい姿を実現するためにDXを取り入れる、まずはその想いを言葉にしてみませんか? 皆様のご参加を心よりお待ちしております。
【申込はこちらから】 https://wakuwaku-dx-oita.com/seminar/