第12回無料セミナーを開催しました!

第12回セミナー「大分の未来を創る挑戦に、挑む」は、現地及びオンラインで大勢の方にご参加いただき、盛況のうちに終了しました!

今回のセミナーでは、伴走型モデル創出プロジェクトに参加している有限会社榎屋の太田慎太郎社長と、パートナーである株式会社ASOの宮井智史社長にご登壇いただきました。

こちらでは、第12回セミナーの内容の一部をご紹介します。

【パネルディスカッション】「大分の未来を創る挑戦に、挑む」

有限会社榎屋 取締役社長 太田 慎太郎 氏

株式会社ASO 代表取締役 宮井 智史 氏

2021年10月から榎屋旅館の代表に就任したという太田氏。

もともと榎屋旅館は湯布院の中でも歴史が古く、立地は良いものの、前の経営者が高齢化により継続困難な中、このままだと外資に買われてしまうという懸念もあり、太田氏が事業を引き継ぐこととなった。「やるからには最先端のことにチャレンジしたい。」とDXその他の導入に意欲的だった。

コンサルティングパートナーである宮井氏は、普段は別府で起業家支援やシェアオフィスの運営を行っている。今回のプロジェクトで太田氏と出会い、榎屋旅館のDXに取り組むこととなった。

太田氏の考えを紐解いて、どんなゴールを目指すのかを一緒に考える役割。

旅館のDXを考えたときに、具体的なソリューションの話に目が行きがちになるところを、まずは、「どうありたいのか」という大きなビジョンを考えることを意識した。

実際に手を動かす開発会社はソリューションパートナーとして別に立てているが、その選定なども一緒に考えている。ITに限らず、内装業者の紹介やオペレーションの提案なども行なっている。

「湧く沸くDXおおいた」に参加したきっかけ

当初は、ソリューションに対して補助金が得られるという興味で始めたが、参加してみて自分自身のDXに対する考え方が変わってきた。と語る太田氏。
他の補助事業とは、何もかも違う。セミナーも違う。審査方法もピッチだったし、ピッチのためのピッチ道場もあった。世界観を広げようとしてくれている、事業を創造しようとしていることがわかった。
それでこちらも補助金が欲しいというだけではなく、DXに向き合うようになった。

宮井氏は、システム化すると維持コストがかかるので、今回の補助金は実験的に運用するために使うことに決めた。事業終了後、自分たちで導入するための最初のステップとして考えている。ゴールとしては、手段にかかわらず、いかにお客様に喜んでもらえるのかを考えたい。とコメントした。

どうありたいか

人員・コスト削減のためのDXでは意味がないと考えている。宮井氏と話す中で、3つの視点を定めた。

1.会社内のあり方。給与、人事考査に関するDXは進んでいるか?

2.内部的に簡略化して効率を上げる準備はできているか?

3.お客様にとってそれがプラスになっているか?

ビジョンについて

「高い自由度と高い地域性」を軸に考えている。

客室が12室しかない旅館では、ギリギリ人手でなんとかなるため、DXする必要はなかった。DXによってプラスがあるとすれば自由度が高まること。お客様にとってはインターフェイスの自由度。好きなタイミングで好きなことができる選択肢をなるべく多く与えること。社員にとっては、1つの部署にとらわれず、広い視野を持って動ける自由度。

最後に気がついたのは、経営者も自由度が上がること。DXを進める中で次のビジョンが見えてくる。

高い地域性というのは、“そこでしかできないことをすること”。いくらDXが進んでも、地域性が担保されていないと意味がない。「湯布院だからこうなんだね」という価値を提供することが重要。

この2つの視点が必要だと考えている。

湯布院の地域性

もともと湯布院の温泉旅館は、平均の客室数が14部屋しかない。14部屋しかない温泉旅館が100軒集まっているということが湯布院の高い地域性だと考えている。客室140部屋のホテルが10軒あるという地域ならば日本で他に何ヵ所も見つけることができる。

地域性が高いからこそ、そこに泊まってみたい。さらには湯布院の宿を周遊して泊まりたい、というお客さまのニーズに繋がっていく。

ハードルがどこにあるのか

「おもてなし」がどういうものなのか、という固定概念を超えていかなくてはいけない。

コストが安くなるからといって、例えば、ドリンクが紙コップで出てきたら嫌だと感じるであろう。インターフェイスに関しても、デジタル化したことでお客様の満足度が下がってしまったら意味がない。

現在取り組んでいるのは、例えば、お客様が温泉に入りたい時に、空き状況をいつでも確認できるようなインターフェイス。感覚的に使用できる「らくらくフォン」のようなシステムを想定している。

地域として盛り上がるためには、一軒だけで頑張るより、数十軒で力を合わせることが大切だと考えている。このコロナ禍で、事業継承しようという若い世代の心が折れている状況。産業として地域を守るためにも、地域の収益性を向上させるDXが重要になる。

パートナーの重要性

家族経営でもある榎屋旅館において、女将である太田氏の奥様や大女将の意見が違う時にも、パートナーである宮井氏が間に立って整理・調整を行い、スピーディーかつニュートラルに課題を解決してくれて助かっている。世の中には自社のサービスを売りたいだけのコンサルタントも多くいると思うので、この機会がなければ良いパートナーには出会えなかったであろう。

宮井氏との対話でビジョンを明確にすることができたので、ソリューションは自ずと決まってきたし、ソリューションによってオペレーションが引き上げられるという結果にも繋がっている。

今後の展望

今後、欲しい情報を欲しいかたちで手に入れられるような仕組みができてくる。DXによって、大分の魅力が1枚のステージの上で紹介されるようになれば、観光全体が引き上げられて注目されると考えている。と語る太田氏。

今回のプロジェクトは3月で一旦区切りとなるが、描くビジョンに向かって今後も継続して取り組んでいきたい、そう語って宮井氏はセッションを締めくくった。

太田氏・宮井氏の示唆に富んだポジティブなメッセージは、多くの方のDXへの第一歩を後押しされました。

「DXの事例を学びながら、自社のビジョンについて考えてみる。その想いを言葉にしてみる。」

そんなセミナーを今後も展開していきます。

ありたい姿を実現するためにDXを取り入れる、まずはその想いを言葉にしてみませんか? 皆様のご参加を心よりお待ちしております。

【申込はこちらから】 https://wakuwaku-dx-oita.com/seminar/