第7回無料セミナーを開催しました!

第7回セミナー「DXに立ち向かうためのマインドセット」は、オンラインで大勢の方にご参加いただき、盛況のうちに終了しました!

今回のセミナーでは、「DXに立ち向かうためのマインドセット」をテーマに、TVCMでもお馴染みのBASE株式会社 上級執行役員 藤川真一氏をお招きし、DXに取り組むためのキッカケについてお話し頂きました。

こちらでは、第7回セミナーの内容の一部をご紹介します。

【講演】「DXに立ち向かうためのマインドセット」

BASE株式会社 上級執行役員 藤川真一氏

機械設計のエンジニアやWeb制作のシステム開発・エンジニア、ベンチャー経営、慶應義塾大学大学院において博士号(メディアデザイン学)も取得され、華々しいキャリアをもつ藤川氏が、DXという言葉を初めて聞いたタイミングとは。

【DXという言葉が出てくる大きな文脈】

「2017年2月YahooのCFOをしている安宅和人さんの、”シン・ニホン” AI×データ時代における日本の再生と人材育成、というドキュメントをきっかけにDXという言葉を認識するようになった」と語る藤川氏。

Twitter上で安宅さんが「DXって何?」と問われた際に答えた内容によると、「これまでの産業から、AIデータを用いた産業に主流が移っていくので、いわゆるリーダーの地位を奪われる。海外に取られないようにしましょう。」ということだと理解している。

【富の源泉が入れ替わる】

例えば自動車産業ひとつとっても、トヨタ自動車の自動車が売れるから、下請けの町工場も潤っている。今後、自動運転の車の登場で、車のニーズが入れ替わったり、車の台数がいらなくなったり、サービスの形態が変わったり、海外の企業にニーズが移っていったりしたら国内のメーカーや周辺の産業自体が縮小を余儀なくされることになる、というのがこの議論の入り口となっている。

【DXに関する経産省の危機感に対する、藤川氏の理解】

まだ実際に上記の変化が起きたわけではないが、今の流れを見た時に、今後の恐れに対する国家としての取り組みとして生まれたのがDXの考え方。

全員がDX人材に入れ替わる、というイメージではなく、日本を引っ張っていくデジタルリーダーを何人生み出すかということが重要である。

そういう人を周りが理解して、サポートしてあげることが大事。

日本という国は、内需が大きいので、優秀な個人が起業するなりしてお金持ちになることはできる。それが世界で戦えるかというのは別の話。力を合わせて頑張らないと難しいので、もっとみんなでDXを理解して応援することが必要。産業としても支援をしないといけない。

現状で言うと、BASEという会社は無料でインターネットショップが作れるサービスを展開しているが、Google、Amazon、Facebookも重要なパートナーであり、DXの主要な部分をGAFAと呼ばれる海外の企業などにシェアを持っていかれている。

国内の企業や、大分県などと一緒に取り組むことで、オールジャパンで戦えるような仕組みをつくっていきたい。

【デジタル化されていく世界の源泉を知る】

日本人の優秀さとは、義務教育が徹底されていて、平均的に、読み書き計算ができる一般教養に満たされている世界。職人が活躍する、高品質でアナログな生産、ブラウン管テレビに代表されるような生産では日本は無敵だった。

その後の流れとして、例えばオーディオは、以前はアナログだった音源がデジタル化され、CDになったり、mp3になったりして、今や中国のメーカーが安価で世界のシェアの多くを占めている。

デジタル化というのは誰でも再現性の高いアウトプットが作れる、といった世界観と理解している。それ自体は取るに足りなかったようなものが、サイズが小さい、モバイルで持ち歩ける、低電力で・・というメリットをうまく利用した人が強いという流れがある。

【ネットワーク外部性がGAFAを助ける】

インターネットでスマートフォンやパソコンがネットワークでつながっているので、結局たくさんの人に使ってもらうサービスが有利になる。

例えば今、LINEの競合のサービスをリリースしてもLINEに勝てないから諦めることになる。

ネットワーク外部性という、ユーザーがたくさんいることによって参入障壁が高くなるというのがインターネットの特徴。

DXをうまく取り込んでいる人たちに現在お金の流れが集中している。

【抽象的には「システム」思想で物事を見られるか】

システムとは、辞書では「多くの物事や一連の動きを秩序立てた全体的なまとまり。体系。」とあるが、何のことか分かりにくい。日本語でシステムという単語に対応するような概念がなかった。

概念がないのだからわからない、わからないのは当たり前だ、ということをそのまま受け入れるというのが重要だと考えている。

DXという言葉も同様に、わからないことを受け入れる作業が必要なのではないか?

そもそも製造業の多くの会社は、点として一つ一つの部品を作るという分断された仕事の役割を担ってきた。逆にいうと変わろうと思っても、自分達一社が変わってもどうにもできない。

とはいえ、全体のルールが変わって、産業構造が壊されるというような場合には、自動的に変化を求められるかもしれない。

【大企業向けシステムには昔からいろんな分野がある】

サプライチェーン、CRM、ERP、物流ネットワーク・・・

多くの中小企業は、これらの中の更に特定の技術という「点」を生み出すことに特化する形で、システムの一つの部品の役割を担ってきたのではないでしょうか?
だから普通に考えるとDXに対してどうしたらいいのかわからないのは当たり前。

インターネットのシステムを使うと、それが個人やスモールチームでも「やりたい何か」に活用できる時代になっている。これも大切なDXの論点と言える。

例えばUber Eatsは個人のフリーランスに運送を委託したり、BASEでは個人がショップを運営するコストを低くすることで、全く新しい産業構造を生み出している。

【DXを実現するために変えるべきマインドセット】

・コンピューターを扱う人の基本的思想を知る

プログラマーの3大美徳を読み込むと描かれる人物像が職人気質であることがわかる。

【DX人材の特徴】

・楽をするために手間(自己犠牲)を惜しまない

・新しいものを趣味的に、積極的に学ぶ姿勢を持っている

・美味しい料理を振る舞う、料理人の気持ち

参加されている皆さんが、上司の立場であれば、どうやったら若い人材のモチベーションやスキルを伸ばせるかを考えてマネジメントしなくてはいけません、と語る藤川氏。

【事例:とある質問掲示板より】

・掲示板の愚痴

ある事務の派遣社員が、これまで他の社員が1時間かけてExcel作業していたものを、マクロを組んで1分で終えることができた。仕事が早い、と褒められることもあるが、怒ってくる先輩もいる。「マクロを組むのはずるい。それは実力ではない。」と。

→昔からよくある議論として印象に残っている。そこに対するアンサーがまた別の論点で面白かった。

・掲示板のアンサー

これだけ回答が出ていても誰も「勝手に作ったマクロの信頼性」に言及していないのは、逆に驚き。内部統制の観点から言えば、「Excelの達人」はリスクとなりうるのです。マクロに間違いがないことを証明しなければ、仕事ができる人にはならない。

→DXを議論する場で、Excelの危険性に関しては議論に上がることがある。セルごとに計算式を入れるので、間違いが見つけにくい。

【日本の縮図】

藤川氏から見ると、どちらの議論も間違っていない。

前者の議論がスタートアップ企業的思想で、後者のアンサーが大企業的思想というフェーズの違いでしかない。

いたずらに内部統制的な動きを求めても、自分の仕事=目的に対しては面倒くさいから、後者を押し付けたら、現場は誰も何もやらなくなる。

【皆様ならどうマネジメントしますか?】

どちらも間違いではないということを理解して、全体としてより適切にシステム化に取り組むビジョンを共有することが重要。

【DXされていく世界についていく】

・新型コロナによるリモートワークの強制と推進

・キャッシュレスを活用したPCR検査会場

・飲食店でのモバイルオーダーの普及

・新型コロナという対面リスクからの安全を、DXで乗り切る

上記のように自然にDXが生活に浸透してきている。

【DXに必要な、ありものを活用する思想】

ゼロからシステムを作ろう、プログラムを勉強しよう、ということではなく、すでに存在する製品の知識をうまく組み合わせる、アイデアが重要だと考えている。

新しいサービスやソリューションをとりあえず使ってみる、という姿勢が大事。

意思決定者に近ければ近いほど、共感するために必要な知識を得ていくことが重要。

特に海外のプロダクトの知識、世界で同時多発的に便利なサービスが生まれているので、積極的に取りに行くべきである。

藤川氏は、何かをやれば、必ず進化と退化の両方がついてくる。その上で、システム全体を捉えて、足りないものを補完するための努力をしてあげられるリーダーシップが大切である、と講演を締め括りました。

藤川氏の示唆に富んだポジティブなメッセージは、多くの方のDXへの第一歩を後押しされました。

さて、DXの事例を学びながら、自社のビジョンについて考えてみる、その想いを言葉にしてみる。そんなセミナーを今後も展開していきます。

ありたい姿を実現するためにDXを取り入れる、まずはその想いを言葉にしてみませんか? 皆様のご参加を心よりお待ちしております。

【申込はこちらから】 https://wakuwaku-dx-oita.com/seminar/