「伴走型モデル創出プロジェクト」採択事業者10社による中間報告会を開催しました!
「伴走型モデル創出プロジェクト」は2022年10月~2023年2月にかけて行われ、採択事業者はDXに取り組むモデルケースとして様々な挑戦に取り組んでいます。10社は、本プロジェクトの1期生、また、大分県の各業種・エリアを代表するオンリーワンの事業者としてそれぞれの「ありたい姿」を実現するため、パートナーと共に走って参りました。
その進捗を県内の皆様にご覧いただく中間報告会を2022年12月14日(水)に開催し、現地及びオンラインで大勢の方にご参加いただき、盛況のうちに終了しました!
こちらでは、中間報告会の内容の一部をご紹介します。
冒頭のパネルディスカッションでは、大分県商工観光労働部 理事兼審議監 渡辺文雄氏、同部参事監兼DX推進課 課長 藤井正直氏、本事業の運営事務局 株式会社ボーンレックス代表取締役 室岡拓也氏が登壇し、本事業の背景やDXの必要性について意見を交わしました。
採択事業者10社の発表内容
①浪井丸天水産
「養殖業の付加価値を高め元気な産業にしたい」というビジョンを掲げ、将来的には海外進出を目指す浪井丸天水産。
ビジョンを策定した背景として、生産者が誰に販売しているのか把握できていない、コストアップ、経営の知識不足、高齢化の問題や、消費者の「養殖魚が天然物に劣る」といった刷り込みがあることを洗い出した。
4年後の海外進出を目指してスケジュールを立て、具体的な目標設定に落とし込んでいる。
実際に試食してもらうことでリピーターにつながっていくと考えているので、その機会を増やすプロモーション活動を続けていく。魅力的な動画を作成し、ホームページやSNSによるPRを進める計画。
②株式会社いろは建築技巧
「次代を担う若手の職人たちが、安心して一流の職人になれる社会を作りたい」をビジョンに掲げる株式会社いろは建築技巧。
上記のようなハードルに対して、ウェアラブルカメラで職人と若手の作業風景を撮影し、職人の技術や経験の可視化に取り組んでいる。
設定したビジョン・ハードルが、自社だけでなく他の業界や企業にも共通の課題としてあるのかを確認するためにアンケートを実施した。
教える側と教えられる側の世代間ギャップが大きいこともわかり、技術継承の一つのソリューションとして考えている動画活用案を今後ブラッシュアップしていきたい。
③有限会社榎屋
「自由度と地域性の高い観光施設DX」をビジョンとして掲げる湯布院の榎屋旅館。従来の旅館が提供していたおもてなしの形態を見直し、デジタルを使ってどこにいても自由に観光客がその地域の価値を感じ・楽しめる、型にとらわれない宿泊業のDXを目指す。
現状の湯布院はコロナ禍で厳しい3年を過ごしてきた。
まず考えたことは、滞在していただくお客様に、DXを通じて感覚的に、街や旅館を理解してもらえる取り組み。地域のアクティビティや旅館の貸切温泉などの施設を予約できる仕組みをつくりたい。
実装に向けては、高齢者向けスマートフォン“らくらくphone”のような、使いやすいデザインを意識して開発したい。
④協栄工業株式会社
「社員満足」を経営理念に掲げる協栄工業株式会社。
現場の施工管理の担当は、朝は6時に出勤し夜の22時頃までかかることも多い。現状を見兼ねた社長が「みまもりくん」という業務管理ツールを導入した。
導入して問題が解決するかと思いきや、導入したことで様々な問題点が出てきてしまった。
そこで、社内で聞き取り調査を行い、「みまもりくん」を使用する際の問題点を洗い出し、2つの視点で解決策を考えた。
課題の1つである「分かっていたけどやらずに放置していた」に対しては、放置してしまっていたタスクに対して、忘れがちな工数期限をメールで自動通知が来るよう設定した。
現在は、エクセル管理していた「みまもりくん」をクラウド化することでどこからでも見やすく、働きやすい環境をつくっている。
さらには「みまもりくん」を、同じような課題を持つ会社にサービス提供することを視野に入れて取り組んでいる。
⑤有限会社やせうま本舗田口菓子舗
郷土料理から生まれた大分の伝統的なお菓子「やせうま」。大分県のお土産品としての認知度は高かったが、それに依存した需要がコロナで激減したことを背景に、「お土産品」から「日常品」への変革を目指す。
県外に広く伝える手段としてデジタルマーケティングを活用、県内に深く伝える手段として地域でのリアルな取り組み、この2つの方法を分けて考えている。
地域での取り組みとして、イタリアン、和食、フレンチのシェフとコラボしてレシピのアレンジやレシピ作成、その他フォトコンテストなどをして認知度向上を図っていきたい。
⑥株式会社高山活版社
創業112年の印刷会社、高山活版社。印刷業の現状としては、情報伝達の手段として文明の発展を担ってきた印刷業の媒体が紙からデジタルに変わったことで、役割を終えようとしている。紙の需要が減る中、印刷にしかできない価値を創出し、Webプラットフォームで発信することで、新しい市場や顧客の開拓を目指す。
印刷を単なる情報伝達の手段としてではなく、情緒をも伝えられる手段として捉え直して、印刷物の可能性を広げていくことにした。印刷を最大限活用できるデザイナーをパートナーとして、高単価、高付加価値を狙うというビジネスモデルを選択。
デザイナーと当社を繋ぐために仮説を立てて実証した「暮らしといんさつ展」では、デザイナーと当社がお互いに意見を出し合って実験的な作品づくりをし、展示販売、トークイベントを行なった。
このイベントを通して、印刷物の面白さや魅力を再確認できた。
この検証結果をもとに、“ともにつくってみたい”と感じてもらう機会を創出するため、当社の情報や情緒の両方を伝えるWebプラットフォームの構築等に取り組んでいる。
⑦株式会社中津急行
「ドライバーが事故を起こさない環境づくり」をビジョンに掲げる株式会社中津急行。
業界全体の問題としては、他業種と比べて2割労働時間が長く、2割賃金が安いという点がある。
社内には、例年50件以上の事故の報告があり、そのうち過去5年では入社1年未満の人員が全体の14%の事故を起こしていた。そこで聞き込み調査を行い、対策について考えて、以下のような課題点、解決方法を打ち出した。
制度を刷新したことによるメリットに加えて、社内の風通しが良くなり、社員の意識が高まったことも大きな成果と実感できている。
⑧株式会社ナガヨシ
「10年後の未来にあかりを灯す」をビジョンに掲げる株式会社ナガヨシ。
高齢者が自宅で自立した生活をできるように、住環境を整えるサービスを行なっている。
ソリューションとして導入する「みまもるライト」にはsimカード付いており、通信機能があるので、トイレの使用状況を家族にメールで連絡できる。
現状、介護保障制度の適用が厳しくなり、サービス自体が重度者にシフトしているため、高齢者が単独で暮らせる住宅が少なくなっている。
そこでナガヨシでは2つのサービスで問題解決に取り組んでいる。
②の賃貸物件のサービスは関係者から評判が良く、社員も自信を深める結果となった。
今後もIoTを活用した高齢者への民間サービスは増えていくと考える。
地方では高齢者の問題点が浮き彫りになりやすいので、今回の学びを大分から、日本中、世界中に発信していきたい。
⑨株式会社ありたや
「想像を超える住環境をお客様に提供する」をビジョンに掲げる株式会社ありたや。
世間ではTOTOの代理店というイメージが強かったところを、「なんでも揃うありたや」と、ここ2年間でイメージの変化を図ってきた。
トイレ本体だけでなく、壁や床、全ての空間を提案している。
このような変化に伴い、社内の問題点が顕在化するようになったことで、対策として以下の2つの方法で課題解決に取り組んでいる。
会社の強みは社員だと考えている。商品知識に誰よりも詳しい営業社員、みんなに好かれていて率直に意見してくれる社員。DXを通じて人を生かせる企業を目指している。
⑩株式会社スーパー細川
「毎日の健康をお届けし、長く暮らしやすいまちづくりへ」をビジョンに掲げる株式会社スーパー細川。
店舗で4~5万枚ほど発行しているお買い物カードを活用し、お客様の買い物データをスマートフォンに表示する「スマートレシート」の機能に、買い物データや運動データをAIが分析し、おすすめレシピの提案や運動のアドバイスをする「カロママプラス」の機能を連携させ、お客様の健康増進に役立ててもらう取り組みを進めている。
現在は会員登録400名を目指して会員を募集している。
高齢者の方がしっかり食事をとり、健康に長生きしていただくことで、医療費もかからなくなる。
この取り組みがひとつの輪になり、健康な社会を実現できるよう取り組んでいる。
採択事業者10社は、それぞれの「ありたい姿」に向け挑戦の一歩を踏み出しています。
そして、3月の成果報告に向け、ここからいよいよ実証実験が本格化してまいります。
3月には10社の挑戦の結果を報告する成果報告会も行いますので、是非ご参加ください。
※詳細は後日HPにて公開いたします
また、DXの事例を学びながら自社のビジョンについて考え、その想いを言葉にするセミナーを隔週で開催しております。
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