ありたい姿への道。第1回セミナーを開催しました!

ホルトホール大分で、湧く沸くDXおおいたの無料セミナー第1弾が開催されました。オンライン参加の方を含めて、約60名と大勢の方にご参加いただき、盛況のうちに終了しました!

湧く沸くDXおおいたの無料セミナーでは、DXに興味がある方や、今後プログラムに参加を検討されている方向けに、DXに挑戦してきた経営者によるパネルディスカッションや、DXに取り組もうとしている皆様と座談会・グループワークを行います。全6回のイベントを通して、各社のビジョンの設定や課題抽出をサポートしていきます。

第1回セミナーでは「ビジョン構築の第一歩~ありたい姿の見つけ方~」をテーマに、DXに挑戦された経営者として森田洋蘭園の森田氏にご登壇いただきました。

こちらでは、第1回セミナーの内容の一部をご紹介します。

【講演】ビジョン構築の第一歩~ありたい姿の見つけ方~

有限会社森田洋蘭園 代表取締役 森田 健一郎氏

1978年生まれ。今年44歳 創業50年を超える洋蘭園の二代目農家というアナログな上に生まれた反動か自分のあらゆる生命活動をデジタル化したいと思っており、様々なガジェットやITサービスにはお金を惜しまない。私生活で得られたデジタル化の知見をアナログな農業にどうやって落とし込むか考え続け、社長就任後の10年で業務の8割以上をデジタル化に成功。

リーマンショック・コロナショックと続く経済危機をまさにデジタル化によって乗り越え、昨年は直近10年で過去最高の売上高を記録。

ありたい姿の見つけ方

森田氏は冒頭で「お金がない農家でもDXができる」と宣言しました。DXに取り組みたいと思っていても予算の関係から、なかなか手を出せない事業者の方もいらっしゃると思います。

しかしお金がないなら、アイデアを出せば良い。

ありたい姿に向かうため、アナログの農家にどうシステムを組み込んでいくのか、世情に合わせ、より良くなるようにと課題に取り組みました。そして10年間で5つの自社オリジナルシステムの開発に成功し、業務の7~8割をシステム化するに至りました。

それでは、DXにお金がかけられなかった森田さんは、どのようにしてありたい姿に近づくためのシステム化に至ったのでしょうか。森田氏ご自身の経験を皆さんにお話しいただきました。

課題①:手書き伝票での販売管理が破綻する

手書きであると、経営管理や競りの品物の価格などの把握が難しかった。

突破:プログラミングが趣味で、同じ悩みを持つ農家友達2人を焚きつけてタダで開発

▶園芸農家向け販売管理ソフト「フルーレ」完成

売り方コード、商品コードなどが、データとして入力できる仕組み。この販売・財務・仕入れ管理のソフトを開発し会社を設立。農家向けにこのソフト開発を行った。

課題②:ネット販売のFAX受注が限界に達する

年間8000件ほどに注文が増え、ミスを連発してしまった。その度に、FAX一枚一枚探して対応していた。

突破:デジタル化の意思を周囲に伝える

農業に興味のあるITコンサルから、限られた予算でシステムを作れる副業プログラマーを紹介される。

▶WEB受注システム格安開発 

相場の3~4割の価格で完成。ステータスが一目でわかるようなシステムができ、ミスが減った。現在も同じスタッフの数で、2倍の量の受注を受け持っている。

課題③:宅配クライシス

大手配送会社が大型運送を停止。大手による洋蘭の配送が困難に。

突破:社会復帰を目指すエンジニアを相場より安く起用。社会復帰のお手伝いもしながら開発を進めた。

▶蘭専用小口配送システム開発

相場の半額以下で完成。翌日の配送ルートがマップに反映される仕組み。

課題④:今まで使用していた農園ハウスのシステムメーカーが倒産

洋蘭育成の環境制御用システムメーカーが倒産し、システムの部品が発注できなくなる。

洋蘭は野菜と違うため、合致するメーカーを探すのも難しかった。

突破:農業展示会で洋蘭用のシステム開発を受注してもらえるよう多くの人にプレゼンテーションをする。

・洋蘭用の環境制御についてアイデアとノウハウを提供する

・製品化の実験台リスクをすべて引き取る

・できたサービスは他社へも販売でき、その際は広告塔となる

▶0円でクラウド型自動環境制御の開発に成功(温調みつばち)

課題⑤:従来の園芸農家向け販売管理ソフトのクラウド対応が困難

技術者の高齢化で「フルーレ」(園芸農家向け販売管理ソフト)がクラウド化できない。

企業からはクラウド化に約一億円の見積もりが出された。

突破:自分のお金は出せないから人のお金で開発しよう!と農林水産省へ申し出ることを決意。

2年がかりの地道な説得作業を実施した結果、令和4年度正式に事業採択され、現在ITベンダーと開発中。

アイデアを提供し農家みんなを巻き込んでありたい姿を実現。

課題がたくさんありつつも、常に時代の変化に対応し、会社のありたい姿を実現してきた森田さん。DXを取り入れることでまさに変化を楽しんでいると感じられるお話でした。

さらに、森田さんが社長に就任した2013年からの10年間は、テレワーク、オンライン消費の増加など多角的な面でデジタル化が一気に加速してきた時代でした。この変化の大きな状況下でも常に前進されているのは、森田氏の行動が常に”ありたい姿”を実現させるためのものだからなのかもしれません。

森田氏は最後に

お金をかけることと“良い”システムであるかは必ずしも相関関係ではない。DXの本質とはアイデア(想像力)であると伝えました。エンジニアを動かすのはアイデア。想像力次第ではお金がなくてもDXができるかもしれない、そんな勇気を与え、多くの方のDXへの第一歩を後押しされました。

会場からは多くの質問が寄せられましたので、こちらでいくつかご紹介いたします。

◌若手とか経験を求めているエンジニアに頼むリスクとは?

A:使ってみないとわからないというのが心配なところ。実績がないから怖い。

◌DXを行うことで、生産者が力を持つ世界が実現できる可能性を感じていますか?

A:感じている。自分が流通の中で主導権をとるということに慣れている人は、多くはないけれど可能性は強く感じている。

さて、DXの事例を学びながら、自社のビジョンについて考えてみる、その想いを言葉にしてみる。そんなセミナーを今後も展開していきます。

ありたい姿を実現するためにDXを取り入れる、まずはその想いを言葉にしてみませんか? 皆様のご参加を心よりお待ちしております。

【申込はこちらから】 https://wakuwaku-dx-oita.com/seminar/#apply

森田さんご講演ありがとうございました!